おはなし
三年寝太郎
日本昔話「三年寝太郎」。
- 文章:東方明珠
- 朗読:得本綾
- イラスト・アニメ:ゆめある
本文
むかしむかしの おはなしです。
ある 村に びんぼうな おやこが いました。
むすこの 太郎は たべては ねて ねては たべて、なまけてばかりです。
いつも お母さんが 一人で はたけしごとを していました。
「太郎は きょうも ねているのか」
「太郎じゃなくて、『寝太郎』だな」
村人たちは 太郎を ばかにして わらいます。
「太郎や、そろそろ おきて はたらいておくれ」
お母さんが 言っても 太郎は ぜんぜん きにしません。
「おらには かんがえが ある。しんぱいするな」
そう言って また ごろごろ してしまいます。
ある年の なつ、まったく 雨が ふらなくなりました。
田んぼは 日に日に かわいていきます。
いどの 水も もう のこり わずかです。
「きっと 天の かみさまが おこったに ちがいない」
「寝太郎が ねてばかり いるせいだ」
「あいつを こらしめよう」
村人たちは ぜんぶ 太郎が わるいと 言って
いえに おしかけてきました。
そのときです。
「そうか、わかったぞ」
三年間 ねてばかりだった 太郎が むくりと おきあがりました。
きものを はおり おびを しめ、まじめな かおで 山を のぼっていきます。
お母さんも 村人たちも びっくりして あとを ついていきました。
山の てっぺんには ごつごつした 岩が ありました。
太郎は それを つかみ ぐいぐい おしました。
「うんしょ、うんしょ」
村人たちは くびを かしげます。
「なにを するつもりだ?」
「そんな 大きな 岩 うごかせっこないよ」
けれども 太郎は あきらめません。
力いっぱい おし出して とうとう がけ下へ 岩を ころがしました。
ごろごろ、どかん!
岩は 谷を ころがり、もっと 大きな 岩に ぶつかりました。
ごろごろ、ごろごろ、どかん! どかん!
大きな 岩は さらに 大きな 岩のかたまりに あたり、また それが つぎの 岩を おし出します。
しまいには 巨大な 岩が おりかさなって 川へ おちていきました。
ばっしゃーん!
川の 水が せきとめられて、むきを かえました。
おりまがって ながれていく 先には みんなの 村が あります。
「見ろ、田んぼに 水が たまっていくぞ」
「たすかった。これで さくもつが また そだつ」
太郎が おとした 岩の おかげで 村は うるおい、ゆたかに なりました。
太郎を ばかに するものは もう いません。
「おら、どうしたら いいか ずっと かんがえていたんだ」
ただ ねてばかりでは なかったのです。
じっくりと いい ほうほうを さぐるうち 三年が すぎていたのでした。
「これからは おらも はたけしごとを がんばるよ」
お母さんは よろこびました。
うわさを きいて となりの 村から ちょうじゃの むすめが やってきました。
「かしこいかた、わたしを およめさんに してください」
太郎は およめさんを もらい お母さんと 三人で しあわせに くらしました。
