おはなし

おにのいるきょうしつ

鬼のちょっぴり こわいお話「おにのいるきょうしつ」です。

くわしくみる

  • 文章:東方明珠
  • 朗読:梅田朱理(コトリボイス)
  • 絵:みのもまりか

本文

これは よにも ふしぎな おはなしです。
イトウさんは てんにゅうせい です。
「わからない ことは なんでも きいて ください」
たんにんの オニハラせんせいは やさしい おとこの ひと です。
ともだちも すぐに できました。

ところが、いっしゅうかんご。
ともだちの ひとりが とつぜん ひっこして しまいました。
「せっかく なかよく なれたのに」
つぎのひ べつの てんにゅうせいが きて、あいた せきに すわりました。

よくしゅう、なかよしの ともだちが また てんこう していきました。
すぐに べつの こが はいってきたので、クラスの にんずうは かわりません。
「いれかわりが はげしい クラスだなあ」

ある ほうかご、イトウさんは わすれものを とりに もどりました。
あかい ゆうひが さしこむ きょうしつには、オニハラせんせいが いました。
まどの ほうを むいて、なにかを たべています。
(おやつかな?)
ドアの かげから ようすを うかがいました。
せんせいの つくえには リボンが ありました。
(あれは てんこう した ワタナベさんの)
よく みると、せんせいは おおきな にくを たべています。
その りょうては まっかに そまり、あたまの うえには つのが はえていました。

(おにだ!)
イトウさんは はしって いえへ かえりました。
「せんせいは ひとくい おに だった!」
おとうさんと おかあさんに うったえました。
けれども、ふたりは わらう ばかりです。
「ゆめでも みたのかな」
だんだん じしんが なくなって きました。

つぎのひ きょうしつに いたのは いつもの やさしい せんせい でした。
やっぱり あれは ゆめ だったのでしょう。
「おてつだいを おねがいします」
せんせいに たのまれて、イトウさんは りかじゅんびしつへ むかいました。
ふたりに なると せんせいは いいました。
「おまえの ばんは まだ だったが、ばれてしまったから しかたない」
いつのまにか せんせいの あたまには つのが。
りょうてを ひろげた おにが、ゆっくりと ちかづいてきました――。

よくじつ あたらしい てんにゅうせいが きて、イトウさんの せきに すわりました。

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