おはなし

まほうのじゅもん

ひめちゃんは にんじんが だいっきらい。
「にんじん なんて きえちゃえば いいのに」
すると かわいい ようせいが あらわれて…
少し怖いお話なので、小学校低学年以上を推奨します。

くわしくみる

  • 文:東方明珠
  • 声:櫻庭由加里(コトリボイス)
  • 絵/アニメ:ゆめある

本文

ひめちゃんは にんじんが だいっきらい。
「にんじん なんて きえちゃえば いいのに」
すると、かわいい ようせいが あらわれました。
「まほうの じゅもんを おしえて あげる。
 にんじん にんじん きえちゃえ るるる」
ぽんっ。
にんじんは あとかたも なく きえました。

ひめちゃんは おおよろこび です。
さっそく ためして みました。
「おくすり おくすり きえちゃえ るるる」
ぽんっ。
にがい おくすりは けむりの ように きえました。

ひめちゃんは むちゅうに なりました。
「いもむし いもむし きえちゃえ るるる」
ぽんっ。
「きょうかしょ きょうかしょ きえちゃえ るるる」
ぽんっ。
きらいな ものが どんどん なくなって いきます。

「おねえちゃん あそぼうよ」
おとうとの しょうくんが はしって きました。
「いま いそがしいの」
しょうくんは だだを こねました。
「あそんでよ」
「しつこいなあ。しょうくん しょうくん きえちゃえ るるる」
ぽんっ。
おとうとは きえて しまいました。

おかあさんが やって きました。
「しょうくんは?」
「しらない」
「さっきまで いっしょに いたじゃないの」
おこられるのは いや。
ひめちゃんは おもわず じゅもんを くちに しました。
「おかあさん おかあさん きえちゃえ るるる」
ぽんっ。
おかあさんも いなく なりました。

ひめちゃんは かなしく なりました。
こころに ぽっかり あなが あいた みたいです。
「ようせいさん おねがい。まほうを けして」
ようせいは いいました。
「きらいな もの、いままで よりも すきに なれる?」
「すきに なる。にんじんも いもむしも きょうかしょも」
ぽぽぽぽぽんっ。
すると、まほうが とけて ぜんぶ もとどおりに なりました。

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