おはなし

オリジナル日本昔話

ゆめあるのオリジナル昔話。

かっぱくんのおさら

くわしくみる

第1回 日本昔話投稿コンテスト優秀作品

本文

 むかしむかし あるむらに かっぱが いました。
 むらの子どもたちは かっぱと なかよし。
 おにごっこも かくれんぼも いつも いっしょです。

 あるひ かっぱが じんじゃの いしだんに すわって ないていました。
「かっぱくん、 どうしたの?」
 みんな かっぱを かこんで しんぱいしました。
「あさ おきたら あたまの おさらに ひびが はいっていたの。
 もしかしたら ぼく しんじゃうかもしれない」

「わたしが なおしてあげる」
と おんなのこが つばを つけましたが なおりません。
「ぼくが なおしてあげる」
と おとこのこが のりを つけましたが なおりません。
 みんな くちを そろえて いいました。
「おいしゃさんに みてもらおう」 
 
 かっぱは みんなにつれられて おいしゃさんのところへ いきました。
「うーーん」
 おいしゃさんが うでをくみ むずかしい かおをしています。
 かっぱも みんなも つばを ごっくん。
 おいしゃさんが ぱっと えがおになりました。
「だいじょうぶ ほうって おけば もとに もどるよ」

 かえりみち かっぱは みんなに かこまれて あるいていました。
「かっぱくん よかったね」
と おとこのこが いいました。
「うん、ありがとう」
と かっぱ。
「あ かっぱくんの おさらから なんか でてる」
と おんなのこが いいます。
「なに なに?」
 みんなが のぞくと……

「あ! たんぽぽ」
 ひびの あいだから いつのまにか たんぽぽが かおをだして いました。
「これは きっと ゆうじょうの はなだね」
と だれかが いいました。

へびのおよめさん

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第1回 日本昔話投稿コンテスト優秀作品

本文

むかしむかし、
おひゃくしょうの ごんべえさんは、
こどもたちに いじめられている ちいさな しろいへびを、
たすけました。

「これこれ。かわいそうなことは およし」

そのよる ごんべえさんの おうちに、
いろじろで きれいな むすめが やってきました。

「わたしを およめさんに してください」

ごんべえさんは おおよろこび。
ふたりは なかよく くらしましたが、
およめさんには ふたつだけ、
ふしぎなことが ありました。

ひとつは、
まいとし なつのはじめに みっかだけ、
どこかへ かくれて しまうこと。

もうひとつは、
こどもが ごにんうまれ まごが じゅうにんできても、
ちっとも としをとらず、
しらがも しわも いっぽんもない、
ということでした。

あるとしの なつのはじめ、
ごんべえさんが おもいびょうきに かかり、
およめさんが ひとつき、
つきっきりで かんびょうしました。

やっと げんきになった ごんべえさんは、
およめさんを みて びっくり。
とつぜん およめさんに しらががはえ、
しわも たくさん できていたのです。

「わたしは むかし、
 あなたに たすけていただいた しろへびです。
 
 まいとし なつのはじめに、
 かくれて ふるいかわを ぬいだので、
 としを とらなかったのです。
 
 ことしは びょうきの あなたが しんぱいで、
 かくれることが できなくて、
 とうとう おばあさんになって しまいました」

ごんべえさんは わらいました。

「わしも じいさんに なったのだから、おあいこじゃ」

そうして ふたりは、
それまでどおり なかよく くらしました。

うさぎさんとかたつむりくん

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第1回 日本昔話投稿コンテスト優秀作品

本文

 そのむかし かめさんとのかけくらべに まけてしまった うさぎさん。
うさぎさんは くやしくて しかたありません。
どうにかして かけくらべにかち ぴょんぴょんあしを みんなにじまんしたいのです。
(そうだ かめさんよりも もっとおそい あいてと きょうそうすればいいんだ)
かめさんより おそいのは…そうだ かたつむりくん。

 うさぎさんは かたつむりくんを さがしだし いじわるをいいました。
「のろまなかたつむりくん ぼくが ぴょんと ひとはねしたら きみがいちにちで うごいたぶんを いっぺんで こえちゃうね」と おおわらい。
いつも おとなしい かたつむりくんも これには おかんむり。
「わかりました うさぎさん それなら このさかみちで きょうそうをしましょう」

「ようい どん」
うさぎさんは ぴょんぴょん さかみちを はしっていきます。
でも かたつむりくんは ゆっくりゆっくりでしか すすめません。
そんなときです。
いままで はれていた おそらに もくもく あまぐもが。
あっというまに おおあめで ぬれたさかみちは つるつるぬるぬる。
うさぎさんは おもわず あしをすべらせ すってんころり。
かたつむりさんよりも はるかうしろまで つるつる すべりおちてしまいました。
「しまった」
それから なんど ぴょんぴょんはねても またまた すってんころり。
かたつむりくんは ぬるぬるみちを すいすい すすんでいきます。

「どうです うさぎさん ぼくのかちですね」
またまた まけてしまったうさぎさんは それからというもの あめがだいきらいに なったそうです。

ちいさなオニのおはなし

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第1回 日本昔話投稿コンテスト優秀作品

本文

むかしむかし、ある山にたくさんのオニがすんでいました。
ふもとの村におりていっては、はたけのやさいをたべたり、
たまごをぬすんだり、わるさばかりしていました。
ところが、村びとたちは、まったく気にしていません。
それどころか、オニがいることすら しりませんでした。
なぜなら、オニたちは とても小さかったからです。
おとなの おやゆびほどの大きさしかありませんから、
オニたちがおおぜいでやってきて、はたけのダイコンをかじっても、
まるまる1本たべきることはできません。
村びとたちは ネズミのしわざだろうと おもってまったく気にしていませんでした。
オニたちは だんだんとずうずうしくなって、村におりてくる かいすうもふえ、
とうとう村でくらすようになりました。
いえの ゆかしたや、やねうらに かってに すみついてしまったのです。
いえの中にも そとにも たべものがいっぱいあって、オニたちは おおよろこびです。
コメやマメがちょっとなくなっても、イモやダイコンがかじられても、
ネズミめ しょうがないなぁと、村びとたちは やっぱりネズミのせいにしていました。
ぜんぶ ネズミのせいにされて、かわいそうにおもったオニたちは ネズミに ごはんを
わけてやったり、ワナにかかっているのを たすけてやりました。
こうして 小さなオニたちは ずっと ゆかしたや、やねうらで しあわせにくらしました。
じつは、いまでも。
おうちの中で、なにか なくなっていたら、きっと・・・ かもしれませんよ。

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