おはなし

子育てエッセイ朗読「魔法のクッキー」

優しいお母さんが娘のために作ったクッキーとは?

くわしくみる

第1回 子育てエッセイ投稿コンテスト優秀作品

  • 文:廣江幸子
  • 声:Ku~*(koebu)

本文

長女が初めて幼稚園に入園した4月のこと。
初登園日、幼稚園まで送りに行くと娘は顔をひきつらせながらも泣かずに部屋へと入っていった。
安心したのもつかの間、迎えに行くと私の顔をみるや否や泣き出してしまった。
きっと緊張の糸がきれたのだろう。
そしてその晩、とつぜん大粒の涙を流して幼稚園に行きたくないと訴えた。
「幼稚園は楽しいよ」「先生も楽しみにしてくれているよ」「お友達も心配するよ」
色々な言葉をかけたものの、もちろん彼女には響かない。
親としてこんな時になんと言えばいいのだろうかと言葉が見つからない自分がふがいなかった。
それでも、なんとか娘が前向きに幼稚園に行ってくれる方法を考えていると、ふと手作りしていたクッキーが目に付いた。
そうだ、これを使おう。
翌朝、むすめにクッキーを差し出しこう言った。
「ママが魔法のクッキーを焼いたよ。幼稚園が楽しくなる魔法をかけて作ったから、これを食べてみて」
娘はとても嬉しそうにクッキーをほおばり、泣かずに無事幼稚園を行くことが出来た。

最近生意気を言うようになってきた長女。でもこんな魔法を信じてくれるなんて、まだまだかわいいなぁと思った。それと同時に、こちらが思っている以上に繊細であり環境の変化に敏感なお年頃。これからもしっかりと見守って一緒に成長していけたらなと思う。

おはなし一覧