おきにいり
どうよう
金子みすゞさんの詩のオリジナルソング。
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私は好きになりたいな、 何でもかんでもみいんな。 葱も、トマトも、おさかなも、 残らず好きになりたいな。 うちのおかずは、みいんな、 母さまがおつくりなったもの。 私は好きになりたいな、 誰でもかれでもみいんな。 お医者さんでも、烏でも、 残らず好きになりたいな。 世界のものはみィんな、 神さまがおつくりなったもの。
明るい方へ 明るい方へ。 一つの葉でも 陽の洩るとこへ。 籔かげの草は。 明るい方へ 明るい方へ。 翅は焦げよと 灯のあるとこへ。 夜飛ぶ虫は。 明るい方へ 明るい方へ。 一分もひろく 日の射すとこへ。 都会に住む子等は。
青いお空の底ふかく、 海の小石のそのように、 夜がくるまで沈んでる、 昼のお星は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、 瓦のすきに、だァまって、 春のくるまでかくれてる、 つよいその根は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。
このみちのさきには、 大きな森があろうよ。 ひとりぼっちの榎よ、 このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、 大きな海があろうよ。 蓮池のかえろよ、 このみちをゆこうよ。
このみちのさきには、 大きな都があろうよ。 さびしそうな案山子よ、 このみちを行こうよ。
このみちのさきには、 なにかなにかあろうよ。 みんなでみんなで行こうよ、 このみちをゆこうよ。
私が両手をひろげても、 お空はちっとも飛べないが、 飛べる小鳥は私のように、 地面(じべた)を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、 きれいな音はでないけど、 あの鳴る鈴は私のように、 たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、 みんなちがって、みんないい。
「遊(あす)ぼう」っていうと 「遊(あす)ぼう」っていう。
「馬鹿」っていうと 「馬鹿」っていう。
「もう遊ばない」っていうと 「遊ばない」っていう。
そうして、あとで さみしくなって、
「ごめんね」っていうと 「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、 いいえ、誰でも。
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