おはなし

アリとキリギリス

夏の間、まじめに働いたアリさんと遊んでしまったキリギリスさん。
そして、とても寒い冬がきました。
さてさてどうなったでしょうか?

くわしくみる

  • 文:東方明珠
  • 声:結城ハイネ
  • 絵/アニメ:夢山イラスト
  • 原作:イソップ物語

本文

むかしむかしの おはなしです。
たいようが きらきらと かがやく なつの ひ。
ちいさな アリが おおきな たべものを せおって いました。
ひとつ はこんでは、また さがしに でかけます。

「アリさん、なにを せかせか しているの?」
キリギリスが たずねました。
「たべものを あつめて いるんだ」

アリは おもい にもつを おろして こたえました。
「どうして そんなに たくさん?」
「だって、ふゆが きたら こまるもの。いまの うちに あつめなきゃ」

キリギリスは わらいました。
「まじめだなあ。そんなの やめて いっしょに あそぼうよ」
キリギリスは バイオリンを ひきました。
それは たのしい きょくでした。

でも、アリは ざんねんそうに にもつを もちあげました。
「もっと ききたい けれど、はたらかなきゃ」
また いえへ むかって あるき はじめました。

「こんな たのしい なつに、はたらいて ばかりじゃ もったいないよ」
キリギリスは まいにち あそんで くらしました。

やがて あきかぜが とおりぬけ、さむい ふゆが きました。
アリは あたたかい いえの なかで のんびり すごしています。
もう はたらく ひつようは ありません。

トントン。
だれかが たずねて きました。
ドアを あけると キリギリス でした。
すっかり やせて げんきが ありません。
「どうしたの?」
「たべものが みつからないんだ」
だから アリは なつの あいだに せっせと はたらいて いたのです。

キリギリスは あのとき わらった ことを あやまりました。
「つぎの なつは ぼくも まじめに はたらく」
「わかったよ。ふゆの あいだは いっしょに くらそう」
アリは キリギリスを いえの なかへ まねきました。

キリギリスは おれいに バイオリンを ひきました。
こうして アリと キリギリスは たのしい ふゆを すごしたのでした。

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