おはなし

頭山(あたまやま)

子供にもわかりやすくした、落語の演目の一つ「頭山」。
男の頭に桜が生える、とっても不思議で楽しいお話。

くわしくみる

  • 文:東方明珠
  • 声:須田勝也(コトリボイス)
  • 絵/アニメ:夢山イラスト

本文

むかしむかし けちべえが さくらの したを あるいてた。
「おっと こいつは さくらんぼ。もったいないから たべちまおう」
どろに まみれた さくらんぼ、ひろって けちべえ のみこんだ。

よくあさ あたまが いたい いたい。
かがみを みたら びっくり ぎょうてん。
あたまに さくらの めが でてて、ぐんぐん せいちょう していたと。

あっというまに はなが さき、みちゆく ひとびと ふりかえる。
「こりゃあ きれいな さくらだね」
われも われもと あたまに のぼり、
うえで はなみが はじまった。

「さくらが まんかい あたまやま」
わいわい がやがや おおさわぎ。

「いたいし うるさい。たまらんわい」
まいにち あたまで さわがれて、けちべえ とうとう おこったさ。
さくらの みきを ぐいっと つかみ、ねこそぎ ぜんぶ ひきぬいた。

そしたら あたまに あな あいて、
あまみず たまって いけ できた。
「さかなが たくさん およいでる」
こんどは みんな さかなつり。

とれた さかなは あぶらが のって、
めちゃくちゃ うまいと きたもんだ。
「けちべえさんも たべてみな」

はじめは おこった けちべえも、さかなを たべたら じょうきげん。
「もぐもぐ。うまいな もっとくれ」
あたまの つりぼり だいはんじょう。
みんな たのしく つりを した。

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