おはなし

鶴の恩返し

助けたつるが恩返しに来てくれる不思議なお話。

くわしくみる

  • 文:東方明珠
  • 声:川本知枝
  • 絵/アニメ:ゆめある

本文

むかしむかしの おはなしです。
あるところに びんぼうな わかものが いました。

ゆきのひ、
わかものは いちわの つるを みつけました。
バサバサッ、バサバサッ。
「たいへんだ。わなに かかっている」

たすけてあげると、つるは
「こうー」
と なきました。
「きをつけて おかえり」
つるは くるくる まわりながら かえっていきました。

そのよる、
「ごめんください」
きれいな むすめが やってきました。
「ゆきで こまっています。ひとばん とめてください」

わかものは ありったけの ごはんを たべさせ、
ふとんを ぜんぶ かしてあげました。
むすめは ほおを あかくして いいました。
「しんせつな かた。
どうか わたしを およめさんに してください」

ふたりは ふうふに なりました。
しあわせでしたが、びんぼうは かわりません。
「これでは しょうがつが むかえられない」
わかものが かなしむと むすめが いいました。
「わたしが はたを おります。
でも、けっして のぞかないで くださいね」

むすめは へやに とじこもり、
はたを おりました。

とんとん からり
とんからり

みっかご、ようやく できあがりました。
むすめは げっそりと やつれています。
「こんなに やせてしまって!」
「それより、ぬのを おとのさまへ とどけてください」

むすめの おった ぬのは ゆきのように しろく、
しんじゅのように ぴかぴか かがやいていました。
「なんと すばらしい」
おとのさまは おおよろこび。
ごほうびを たくさん くれました。
「きにいったぞ。もうひとつ もってまいれ」

「さて、こまった」
めいれいには そむけません。
すると むすめが いいました。
「もういちどだけ はたを おります。
こんかいも けっして のぞかないで くださいね」

とんとん からり
とんからり

みっか たっても、
いつか すぎても おとは やみません。
「だいじょうぶかな?」
わかものは しんぱいになり、
へやの とを あけてしまいました。

そこには つるが いました。
むすめは、ゆきのひに たすけた つるだったのです。
つるは、むしった じぶんの はねで、
はたを おっていました。
「すがたを みられたら、
おわかれしなくては いけません」

つるは よわよわしく
「こうー」
と なき、そらへ かえっていきました。

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